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2010年8月24日 (火)

映画『ゴッドファーザー MARIO PUZO'S THE GODFATHER』

Photo_2遅ればせですが、前回の『カプリコン・1』に続き、第12回『ブログDEロードショー』に参加させていただきました。今回は「そのスピードで」のケンさんのチョイスということで、「忘却エンドロール」の宵乃さんからお誘いいただきました。

もう40年近く前の映画ですが、流石に貫禄のある作品でドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の存在感はさることながら、三男マイケル(アル・パチーノ)の壮絶なドラマが展開していく。

冒頭の結婚式の華やかなシーンがまず印象的ですが、この舞台が後に家族の崩壊に繋がっていくので登場人物を把握するには重要なシーンです。

誰もが知っているコッポラの名作ですが、まだ生まれる前に公開された作品であり、まともに全部観たのはまだ最近です。どうも暗~いイメージがあるマフィア映画だという先入観が、取っ付きにくかったのかもしれません。製作年も古いですし・・。

しかし、主演となるドンもマイケルも只の犯罪者というわけではなく、正義と悪の狭間というか、グレーゾーンで生きています。犯罪サスペンスという括りでも語れる作品ですが、こういうところに意外性を感じます。家族のドラマ、及び“ビジネス”が中心に語られるので生きている世界、時代は違えども入りやすい。

久しぶりに観ますが、今回は何気に吹替にしました。ファミリー構成が巨大なので1回目の鑑賞では登場人物が誰がどこの誰なのかさっぱりで、2回目以降だと比較的分かりやすく鑑賞できます。

長男ソニー(ジェームズ・カーン)はリーダー・シップを発揮しようにも気性が荒く頭で行動しない感じ。凄く印象に残るキャラクターですが、やがて敵対する組織の銃弾を浴びることになり帰らぬ人となります。マイケルは温厚な性格でよき恋人に恵まれ幸せな感じでしたが、ドンが組織から殺されかけた事に端を発し、銃を手に彼らに立ち向かうことになります

ドン自身はマイケルにだけは裏社会ではなく表の世界で活躍して欲しかったと言ってました。

コルレオーネ・ファミリーはニューヨーク5大ファミリーのひとつにして儲けは酒とギャンブル。友人たちがひっきりなしに相談に来ますが、法で裁けぬ犯罪者には暴力で片を付けます。合法ではないポイントはそこにありますが、ドンなりの『正義』がそこにあった。いわば巨大な自警団のようでもあり、判事や警察にも友人を持つ。

時代が変わり、5大ファミリー間で麻薬ビジネスがクローズ・アップされるがドンは麻薬には手を染めず、それをよからぬと思った黒幕からコルレオーネ・ファミリーは危機的状況に追い込まれる。

綺麗事では済まされない非情な世界。暴力沙汰に巻き込まれればまともに生活しようにも出来るわけが無く、穏やかではいられない。

女性たちの描き方が雑なのは時代性ゆえか、とても観ちゃいられないところもあります。殺人事件で故郷に潜伏したマイケルですが、冒頭から出ていた恋人を尻目にそこで出会った美女と結婚。とても早い展開に置いてきぼりをくらいますが、なんと彼女は爆死し(これにはまた驚いた)、再びドンの元へ戻り今度は元カノと結婚です。いつの間にか子供も・・

ドンが亡くなってからがまた大変なのですが、冒頭で出てきたマイケルと後半のマイケルの変貌振りが凄い。家族の中で最も落ち着いた性格のマイケルだからこそ、父の後を受け継いだ事に違和感はないのですが・・。冷静に家族の行動を判断する側近の弁護士トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)の言うことがもっともだと思って観ていたのですが、時代はすでに変わり始めていたのでした。

Photo冒頭の結婚式で後に出てくる主要登場人物がしっかり紹介されています。あれ?この人は誰だったかなぁ・・などと思った人は最初のシーンに戻ると良いかもしれません。特に結婚した娘の旦那がキーマンになっていたとは気がつかなかったのでクライマックスのマイケルの行動に感服です。虚飾の結婚式だったのだ。

登場人物が多いので全てを語るには巨大すぎるファミリーたちの映画です。

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コメント

はじめてお邪魔いたします。
今回も企画に御参加いただき、ありがとうございました!

壮大な物語がうまくまとめられていて、読み応えがありました。
冒頭の結婚式は、伏線が張り巡らされていますよね。
何度見ても好きな場面です。
新郎のカルロは、コルレオーネ家の「ビジネス」に加わりたかったんですが、
父は娘の幸福を考えて結婚を許しつつも、仕事には近づけません。
顔だけが取り柄のチンピラなど信用できないので、
身内が相手でも、厳しい態度を取る人なんですよね。
カルロはそれが不満で、あの様な行動に出たのだと思います。
コニーにとっては、かわいそうな運命ですが。
「虚飾の結婚式」、まさにそうですね。

投稿: ケン | 2010年8月25日 (水) 08時51分

おはようございます☆
今回もご鑑賞とレビューを有難うございました☆

>なんと彼女は爆死し(これにはまた驚いた)、

これは、マイケルが乗るはずの車を、
運転覚えた彼女が「私が運転する~」って感じで
ルンルン(死語?)していたらドカンですから、
彼女が狙われたのではないと思いますが、
その後の遺族の悲しみなど全く描写なく、
あれは結局現地妻という事かい?と、腹が立ちました。
もちろん雷に打たれ、好きだったんでしょうけど、
結婚・・・う~ん、勝手な男だと思いました。

(最近見た昔のドロンのマフィアものでも、全く同じ
車で家族がドカン、と、女性に餓えている、という描写があったので、
こういう映画はワンパターンなところがあるなぁ・・・と思いました)

長々と失礼しました。次回も宜しくお願いします。

投稿: miri | 2010年8月25日 (水) 09時29分

こんにちは。素敵な記事を書いてくださってありがとうございます!

>今回は何気に吹替にしました。ファミリー構成が巨大なので1回目の鑑賞では登場人物が誰がどこの誰なのかさっぱり

わたしも吹替で観ました。なんせ顔を覚えるのが苦手なもので、初見時に苦労したのを思い出して吹替に。やはり一回目ではこの人数把握するのは大変ですよね。

>冒頭の結婚式で後に出てくる主要登場人物がしっかり紹介されています。

ドンに挨拶するために、ひとりでぶつぶつ練習するルカが結構好きでした。
でも、恐ろしい殺し屋なんですよね・・・。あの姿からは想像できません。

女性の扱いはほんとに雑でしたよね。この作品があまり好きになれない理由のひとつです。

投稿: 宵乃 | 2010年8月25日 (水) 11時27分

たまさん、すみません、私勘違いしてしまって。
私はラスト数分を、じっくりと2度見したのですが、
たまさんは、全部を2回、じっくりとご覧になったのですよね?
いや~恐れ入りました。
一緒にして、申し訳ありませんでした~(ペコリ)

投稿: miri | 2010年8月25日 (水) 12時42分

こんばんは。

本当に登場人物が多いですね。
序盤から結婚式でしたが結構登場してきますし…私は30分くらい観たところから、もう一度観直してしまいました。(^^;

女性たちの描き方が雑なのは、やっぱりその時代と特異な世界だからだったとは思うのですが…ただ、そうであっても、シチリアでの有無を言わせない結婚、そしてケイとの寄り戻し(実際には1年経っているようですけど)には驚きました。

とにかくマイケルの変貌振りは見ごたえがありましたね。

トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。

投稿: 白くじら | 2010年8月25日 (水) 22時03分

>ケンさん、
壮大な作品ゆえ、じっくり繰り返して拝見致しました。
参加させていただき、ありがとうございます。
あの結婚式のシーンがこれほど重要だとは、
何度か観る事によりさらに理解できるという・・
カルロはただの脇役とばかり思えば、またいろいろと思惑があり、作品世界の深みを改めて実感しました。
ドンにはドンなりの彼へ対する考えがあったのですね。

投稿: たまさん(主) | 2010年8月26日 (木) 12時22分

> miri さん、
今回も参加させていただきありがとうございます。
マイケルが向こうへ行って恋をしたのかどうなのか
分かりませんが、彼女をほったらかしていきなり結婚かい!と突っ込んでしまいました。描写がなんか淡白で無頓着。
さらに、ルンルンだったのに爆死は酷すぎるだろうと愕然とします。
確かに車でドカン!ていう映画、多いですよね。

いちおう、2回は今回観ましたが、多少早送りもしていますのでまだまだ分かってない部分はあると思います。

何度も観てこそ全体像がつかめる作品だと思いました。

投稿: たまさん(主) | 2010年8月26日 (木) 12時43分

>宵乃さん、こんにちは。
吹替でも、声優が結構ハマッていて楽しめましたね。
確かに、あのぶつぶつ言っていた俳優は凄く印象に残ってます。その後の展開は悲惨でしたが、、
女性の描き方が雑なのは時代性故か、でも展開が早くなってしまったので余計に目立ちました。特に後半部分。

これを心情その他をゆっくり見せると1本の映画として収まらないから仕方がなかったのかもしれませんが、残念なところではありますね。

投稿: たまさん(主) | 2010年8月26日 (木) 12時54分

>白くじらさん、

前回に続き参加させていただきました。
1回観ただけでは分かりませんよね、あの数。
今回全体的に2度見しましたが、
あの結婚式のシーンだけは3回見ました。顔と名前を確認するのに大変なんですね~、、

ケイとの寄り戻しは早かったですね。
別れ際の食事のときは無言でも「この世界に君を巻き込めない」というようなマイケルの心情も窺えましたが、なんか、違うようですね(^^;
もうちょっと苦悩している姿でもあればまだよかったかもしれませんが・・
ファミリーを背負う身として大変なマイケルです。

投稿: たまさん(主) | 2010年8月26日 (木) 13時10分

こんにちは!
はじめまして!

私も今回、このブログDEロードショーに参加しました!
『ゴッドファーザー』は一応2度目ですが、
今回改めて観れたことで
以前には気づけなかったことに気づけました!

冒頭のシーンは印象的ですよね!
最近の映画だと、冒頭はガガーーっとアクション、
観客の心を鷲掴んで、いよいよ本編へ…という感じですが、
こうした内容で魅せる作品は、
静かな会話のシーンで、この映画の全貌を表現するんですね~!!

素晴らしい作品でした!!

投稿: なるは | 2010年9月 7日 (火) 11時36分

>なるはさん、
前回もコメントいただいているので
はじめまして!
と言われてちょっとびっくりしました(^^;

今回は『ブログDEロードショー』に参加されないのかと思っていたのですが、観られてよかったです。

2度見るとさらに作品世界が理解できますね。
確かに、冒頭で掴みはOK,さぁ、本番・・という映画が多いですが、この作品の出だしは凄いです。

映画が終わってから、もう一度ここへ戻れます(*^-^)

投稿: たまさん(主) | 2010年9月 7日 (火) 23時04分

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