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2010年3月10日 (水)

映画『ハート・ロッカー THE HURT LOCKER』

Photo

第82回アカデミー賞で作品賞、監督賞含む6部門を受賞。監督のキャスリン・ビグローは『アバター』のJ・キャメロンと元夫婦であり、その対決が注目を集めていましたが、結果『ハート・ロッカー』に軍配が上がった。

今回女性史上初の監督賞。彼女の作品は『ブルー・スチール』(90)の頃から注目していました。『ハートブルー』(91)、『Kー19』(02)と傑作アクション&骨太サスペンス映画を経て今回の受賞に至ります。

イラクのバグダッドが舞台、主人公チームが爆発物処理班ということもあり、かなり凄惨な戦争ドラマが繰り広げられるだろうと覚悟して見ましたが、特に前半の爆弾処理における緊迫したムードはハラハラ・ドキドキ状態になり鼓動が高まりました。

この駐留米軍ブラボー中隊は冒頭で班長が爆死するという悲劇に見舞われます。新たに加わった二等軍曹のウィリアム・ジェームズ(ジェレミー・レナー)班長が爆発物処理に掛かります。

元諜報部のベテランであるJ・T・サンポーン軍曹(アンソニー・マッキー)とオーウェン・エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)の外周見張り役というサポートを受け、爆弾処理を遂行。現場のルール無視の自己流を貫く新班長に軍曹たちはイライラ。

大勢の一般人がいて、外の何処に敵が潜んでいるか分からない中で除去作業をするのですが、これが見ていてなんだか滑稽だ。班長も処理をする中、「笑える」「面白い」「クソッタレ」なんて言いながら爆弾除去をします。

過去に800以上の爆弾を処理したという経験の持ち主であるだけに余裕があり、映画の主人公としてユニークなキャラクター作りになっている。

主人公だから、死なないだろうな~と思いながら見るのですが、どちらかといえば見張り役のふたりの方が心配になってきて、「撃たれるな、気をつけろ!」と、活躍を追います。

携帯の遠隔操作で簡単に爆発は起こる。外にいる犯人と、ブラボー中隊の“根比べ”にさえ見えてきて滑稽です。なんて意味の無い事をしているのだとさえ思えてくる。

そこが戦争の矛盾したところで、『勇者たちの戦場』(06)でも描かれたように、主人公は家族のもとを離れ再び戦場に舞い戻る。 「子供の頃楽しいと思っていたものも、年を取るとそうは思えなくなる」。人間爆弾になった子供の遺体の姿が痛々しく思い起こされます。

劇中結構へヴィなメタル・ナンバーを聴いている主人公なので、『ハート・ロッカー』の意味は“ロックのハート”?とか思い浮かべましたが、違うようです。「行きたくない場所」「棺おけ」などを意味するらしい。どんなに危険な場所と分かっていても、兵士はそこで任務を遂行する。

Photo_2敵との持久戦や、銃を手にして独自に行動する主人公の姿など、戦争ドラマというよりかサスペンス・アクションの要素が強い。かつての映画で見られたようなビグローならではの演出が特に後半目立った。感情の揺れを丹念に描いているところにも注目。

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コメント

こんばんは!
持久戦、いつ爆発するかわからないハラハラドキドキは、緊張の連続でしたねー。
戦争ものというよりもサスペンスタッチでした。
現代進行形の話というのが余計に重みがありますね。

投稿: アイマック | 2010年3月12日 (金) 21時41分

たまさん、こんばんは!

>主人公だから死なないだろうな
僕はこれ冒頭のシーンで、結構いや、死んじゃうかも・・・と思ったので、結構ずっと緊張感を持って観ていました。
これこそ彼らが日常的に接している緊張感みたいなものなのだろうなと、彼らの日常生活の過酷さを感じれしまいました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年3月14日 (日) 05時23分

たまさんこんばんは★snow

お返事遅くなりました!

リアル。
爆弾処理というこれまでになかった切り口で見せた戦争映画でしたよね。

アカデミー賞作品賞受賞しちゃうとは思いませんでしたけど、、、、
でも多くの人がこれで観ることになり、良かったと思います。

投稿: mig | 2010年3月14日 (日) 16時39分

>アイマックさん、
あの緊張感はなかなかのものでした。
いったいどこに『敵』がいるかも分からないのに・・
ちょっとわざとらしい演出が、
映画的に面白くしているようにも感じました。

投稿: たまさん(主) | 2010年3月18日 (木) 13時31分

>はらやんさん、
最初に出てきた班長は主人公じゃないと思ったので、
「助からないだろうな」と恐々しながら見ていましたよ。見張り役のふたりも。

あの冒頭のシーンは怖かったですね。凄い仕事です、、

投稿: たまさん(主) | 2010年3月18日 (木) 13時36分

> migさん、
こちらこそお返事遅くなりました。
緊迫感溢れる戦争映画でした。
只、他の戦争映画と比べると案外あっさりした展開で、
普遍的なサスペンス・アクションとして見やすく出来ていた気がします。

アカデミー賞の件もあり各回観客の入りは多かったですが、
スクリーンがあまりに小さいシネコンだったので惜しかったです。「小さ~」なんて周りからも聞こえましたし。

投稿: たまさん(主) | 2010年3月18日 (木) 13時55分

こんばんは。
全編にみなぎる緊張感と臨場感が凄かったです。
私もK・ピグロー監督はどれも好きなので、オスカー獲れて良かったです。

投稿: hash | 2010年4月 3日 (土) 00時32分

こんにちは~♪

>見ていてなんだか滑稽だ
この映画の感想の中に“滑稽”をいう言葉を2度も使われるなんて・・・
だけどニュアンスがと~~~っても分かります!!
私も何となく“滑稽さ”のようなものを感じました。何でだか分かりませんが・・・

ずっと緊迫感があって疲れる映画でしたが、後半は緊迫感よりも遣る瀬無さのようなものを感じました。どちらにしろグッタリでしたよ(笑)

投稿: 由香 | 2010年4月 4日 (日) 13時18分

>hashさん、
『ブルースチール』の時もアクション映画にして女性監督というのが随分話題になっていましたが、ここまできたかという感じです。
ピグロー監督らしいアクション作として観れましたよ。

投稿: たまさん(主) | 2010年4月 7日 (水) 15時07分

>由香さん、
やっぱり、滑稽だったもので・・

結構お疲れになったようですね。冒頭からの緊迫感も並ならぬものがありましたね。滑稽で疲れるというのもありましたよ。
遣る瀬無さは戦場でしか晴らせないものなのでしょうかね、、

投稿: たまさん(主) | 2010年4月 7日 (水) 15時18分

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