映画『ファニーゲームU.S.A.』
人との関わり合いの中で、プツンと神経が途切れることは無いだろうか。それは意図的に相手が「悪い行動」をしているのではなく、むしろ良い行動だと思って動いている中でも、そのあまりの人に対する無頓着さに嫌気が差してしまう瞬間。
外からはいい人に見えても、自分からは無神経で嫌味な人間にしか思えず。 協調性が試される。
この映画では一見、人の良さそうな青年の行動がどんどん悪い方向へエスカレートしていき、とんでもないことになる。
バカンスで別荘にやってきた夫ジョージ(ティム・ロス)と妻アン(ナオミ・ワッツ)と一人息子。台所で夕食の準備に取り掛かるアンの前に気の良さそうな青年が現れ、隣の者だという彼は卵を分けて欲しいと丁寧な態度で申し出てきた。ためらわずに卵を分けてあげるアンだが、彼に渡した後、卵を落として割ってしまったという。
「しょうがないわ」ともう一度卵をあげるのだが、ここから先はプツンの連続。台所の上に置いていた携帯さえも水の中に落っことされる。プツン!
この時点ではワザと悪さをしているようには見えない仕草だが、もうひとりの横柄な態度の青年が来ると、事態はさらに急変する。思わず彼に手を上げた旦那のジョージは突然ゴルフ・クラブで殴られてしまう。
ここから理不尽極まりない過酷な“ゲーム”が始まりだした。
「問題作」と言われるだけにさすがに見てるものまで不快にさせる痛々しい・腹立たしいシーン続出。しかも残虐の極みのその後をワンカットで長々とみせるから辛い。
最低野郎どもに反撃に出ても、なんとリモコンを操る奴は映画そのものを逆回転させやがった!!反則技もいいところだが、そこが監督の狙いなのだろう。
「あなた、バイオレンス描写を楽しんで観てますね。」と。それはハリウッド映画への皮肉とも取れる。
オーストリア製作のオリジナル版(’97)は観ていなかったので比較できませんが、同じ監督のセルフ・リメイクにして“物議を醸した衝撃の問題作”であるのは理解できた。この映画の物語にはなんの救いもない。ひたすら暴力の不快さを見せ付けられる。
人に対して良い行いと思っていた行動が、予想だにしない仕打ちとなり返ってくる不条理。
彼は何故卵を落としたのか、只の不注意?旦那が手を出さずにうまく話をしていれば済 んでいたのか。いやはや、計画的に人を不愉快にしている彼らは常習犯であり、リモコンを手にした瞬間、映画そのものの緊張が途切れてしまい、襲われた一家はもはや操り人形でしかないのに気付かされる。
あー・・・もう二度と見ることはないだろうと思いつつ、語り継がれる作品になったことは間違いない。“ファニーゲーム”、コメディかと思ったら、とんでもなかった。
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