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2009年5月17日 (日)

映画『グラン・トリノ』

Photoこの顔つき、「あ、ダーティーハリーだ」。孤独で偏屈な老人が町のチンピラに立ち向かおうとしたとき、その姿が一瞬蘇った。『ミリオンダラー・ベイビー』(04)で最後の映画出演となると思いきや、アクション風味を交えての復帰作です。

最初は結構やんわりしたヒューマン・ドラマだろうと思って見ていたのですが、なかなかにこの老人は頑固者でして、ちゃらちゃらした若者や自分の息子家族にさえ嫌気が差す毎日で、悪態のつきっぷりが笑わせます。

78歳のクリント・イーストウッド。監督・主演も兼ね、もはや彼の集大成ともとれる作品のような気がしました。政治的な難しい話はほとんど無く、ストリートで生きる若者や家族の物語は案外身近に感じられるものです。

宗教、差別、若者の犯罪とアメリカが抱える問題をテーマに持ってきているように見えますが、日本でもこのような光景は見れます。ひとつ違うのは銃があるか無いか。

接客業の傍ら、過去様々な人々を目撃してきましたが、『他人』に迷惑を掛ける輩も大勢見てきました。 

ブログ時代へ突入してからはすっかり問題を起こすような人間はあまり見かけなくなりましたが、それでも例えば突然小さな事で罵声を浴びてくるおっさんや、ゴミをちらかす若者、万引きをする輩でも出てくればこちらも怒鳴ることがある。子供だけでなく、“バカ親”達も多数見た。実際こういう人間を目前とすると、キ○ガイ以外の何者でもないように見えるものだ。

ふと、脳裏によぎる。 「お前ら、ここが銃社会だったら、どうなる?」と。まさしくこの映画の主人公ウォルト(イーストウッド)の行動が映し出されるワケです。但し彼の場合、敵対心がかなり強く危険極まりない。

朝鮮戦争の帰還兵である元自動車工のウォルトは戦場の凄惨な体験もあり心を閉ざして生きている孤独な老人。妻にも先立たれ、息子達との関係もギクシャクしている。訪ねてくる新米神父にも悪態をついている日々。

そんなある日、隣家のアジア系移民家族であるモン族少年タオ(ビー・バン)が不良グループに嫌がらせを受けているところを目撃しつつ撃退。それを機に、姉のスー(アーニー・ハー)含め親切なモン族との付き合いが続き、彼の中で変化が訪れる。

不良グループにそそのかされてウォルトの愛車“グラン・トリノ”を盗もうとしていたタオは罪の償いとして彼の下で働くが、やがてウォルトは「トロ助」だったタオの成長ぶりを見て生き甲斐を感じるようになる。

暴走する不良達を許せないウォルトはそのひとりを叩きのめすが、隣家へ報復の銃弾が浴びせられ、スーも襲われることに。その後彼が取る行動とはー。

冒頭から伏線となるシーンが出てくるのでおそらく彼のラストは『死』であると想像しましたが、自らの戒めの意味もあったのか最期があまりに悲しいシーンとなりました。周りの観客がすすり泣いておられるので思わずもらい泣きしそうになった。

こんな時チャールズ・ブロンソンならどうするだろう・・スタローンなら・・

しかし、やっぱり暴力には暴力をでは駄目なんだよと、戦争体験者が語る広義のメッセージと受け止められます。

Photo_2イーストウッドの一挙一動がとても印象に残る。老人の気持ちに同化しそうになった。これだけ心に残る映画は稀です。おかげでこの映画観た夜はブログになんて書こうか考えながら、眠れなくなったぞ(苦笑)映画出演最後と囁かれているが、また自らの監督作で出てほしいです。

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