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2009年4月 6日 (月)

映画『ザ・バンク 堕ちた巨像 THE INTERNATIONAL』

Photo 金融ビジネスを描いた映画ではまずオリヴァー・ストーンの『 ウォール街』(87)を思い出します。邦画なら『金融腐蝕列島[呪縛]』(99)とか。けれども、興味が無い話であればことさらチンプンカンプンで、ややこしい人物相関や専門用語に痛い目に遭う。

面白いか面白くないか。登場人物に感情移入できるかどうか。

邦題がずばり“ザ・バンク”なこの作品ですが、難しい金融闇ビジネスにメスを入れた話でありながらも、主人公の活躍が頼もしく、なかなか痛快なエンタメ作になっていた。

その世界を股に掛けるインターポール捜査官 サリンジャーにクライヴ・オーウェンが扮する。もさもさ頭に無精ひげ、女っ気無しのなんか苦労してそうな野暮ったい人物だが、組織からがんじがらめに遭いながらも男気ある活動を展開していく。

隣にいるのはニューヨーク検事局に勤める美女ホイットマン。サリンジャーと共に巨悪に立ち向かう検事補をナオミ・ワッツが好演している。

ルクセンブルクに本部を持つ国際メガバンクIBBCが捜査対象になっているが、そこから繋がる人物は幅広い。舞台もベルリン、リヨン、ミラノ、ニューヨーク、イスタンブールと飛びまくり。何処が何処だったか(!?)ちょっとややこしくなった。字幕テロップを用意してほしい。

ベルリンにて内部告発をしようとした銀行幹部から情報を入手すべく接触した検事局調査員がサリンジャーの目前で突然死。次いで銀行幹部も謎の事故死を遂げる。銀行にとって不利益な人物が次々と消され、証拠を覆される中、ホイットマンのサポートにより捜査を続行するサリンジャー。この映画で初めて知ったのですが、インターポールに逮捕権ってないんですね。各捜査機関への協力・情報提供などが主な任務とされる。

映画に登場するIBBCは91年に経営破綻した『BCCI』がモデルになっている。テロ支援、麻薬取引への関与、CIAとの闇取引などを行っていた。結構昔の話だなーと、思うことなかれ、今でも映画で描かれているような事は日常茶飯事なのかもしれない。銀行とはどういうものなのか、金融ビジネスの裏は、 「国家や個人でも同じ、人々を借金まみれにして“支配すること”」 だというようなセリフが劇中で語られていた。

冒頭に出て来た銀行幹部を殺害したのはIBBC頭取のスカルセンだった。側近のウェクスラーは殺し屋コンサルタントを利用し、IBBC疑惑に関与していた軍事メーカー社長カルビーニを暗殺。逆に、今度はサリンジャーに接近されたコンサルタントを殺そうと暗殺部隊を仕向ける。銀行にとって不要な者は全て消されていく。

大きな見せ場としては弾痕から犯人を特定していくサスペンスフルなシークエンスと、NY美術館の螺旋状の回路で、周りの観客お構い無しに派手な銃撃戦が繰り広げられるシーン。コンサルタントと対峙するサリンジャーだが、お互いの敵がウェクスラーの暗殺部隊に向けられることになってしまった。美術館壊しまくりな展開が、破壊美学のようなものをここで見ることに・・。

いつの間にやら捕獲されたウェクスラーに尋問するサリンジャー。あ、ウェクスラー役のアーミン・ミューラー=スタールはたまに大橋巨泉にみえます。似てない?ナオミ・ワッツも出演していた『イースタン・プロミス』(07)で見かけた俳優さんだ。どっかで見た顔だと後で気が付いた。

政府や諜報機関、多国籍企業、軍事産業、犯罪組織、この世のすべてのシステムに関与する巨大なメガバンクを裁くことは出来るのか、出来たとしても、その後に残存するものはなんなのか。

権力者に立ち向かい、追い詰めようとするヒロイックな様をサリンジャー捜査官と共有し、世界各地の街並みに触れる楽しみもある。ちょっと意外な役柄に挑戦したナオミ・ワッツの立ち位置にも注目だ。

Photo_4不甲斐無いラストに愕然とする向きもあるが、それがリアルで返って興味を抱かせる映画となった。世界的な金融危機に陥っているといわれる今日この頃、このリアリティは無視できない。

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