映画『光州5.18』
ちょっと久々に韓国映画を観てみよう・・と気になったこの作品。光州事件を題材にした映画で、1980年5月18日から10日間に渡り、光州市で起こった民主化を求める活動家とそれを支持する学生・市民が軍の制圧により多数の死傷者を出した事件を基に描かれる。
凄く悲劇的で残酷な話。唯一看護師のヒロイン・シネ(イ・ヨウォン)の姿に救われた印象です。
この映画を見るまではまったく知らなかった事であり、当時は軍の完全統制によりまったく報道されなかったという。ドイツ人記者により諸外国では報道されたらしいが、劇中新聞の紙面に報じられた場面は市内での救われない状況下の中に少しだけ挿入されていた。それでもアメリカは動かない。
北へ向かっていると思っていたのか、冒頭、軍用機で移動途中の兵士が「南へ向かっている・・」とつぶやきます。上層部からは何も知らされていない様子です。
79年、パク大統領暗殺後に軍部がクーデターにより実権を掌握した。
ごくごく平和な光景のいつもの日々に突如現れる戒厳軍。前半は何気ない青春ストーリーな展開ですが、一気にありふれた日常が惨劇に変わる。
もしこんな事が日本でも起こったら・・なんて思うとゾッとしますね。登場人物には少なからず感情移入できたかと思います。
頭のいい弟ジヌ(イ・ジュンギ)と二人暮らしのタクシー運転手ミヌ(キム・サンギョン)。弟と同じ教会に通うシネに思いを寄せるミヌは3人で映画を見に行くチャンスを得るが、外では民主化デモ隊と軍の衝突が始まり、やむをえず3人も巻き込まれる。
シネの父親(アン・ソンギ)はミヌの会社の社長であり、空挺部隊の元軍人。この主要登場人物を軸に話は進行していきます。
韓国産らしいオーバーアクトな演出が目に付きますが、実話を基にしているだけに真面目に直視していました。
何故そのような経緯になったのか説明不足な為か、只々残酷なまでに撃ち殺される人々の姿が理不尽でいたたまれない。軍部の行動も描かれますが、なんだか個人の只の張り合いの為に200名近い命が奪われていますからバカらしくて怒りさえ込み上げてきます。事実はもっと複雑で映画のようなものではないかもしれません。こんな事が起こりえた背景に興味を持ち、考えてみるのに重要な作品です。「暴徒じゃない」と抵抗した主人公、ラストで投降し、じっくり後で話し合うという解決策はもう無かった。せめて生き残って欲しかった・・。
「私達を忘れないでください・・」ヒロインの後姿が印象に残ります。
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光州5・18 スタンダード・エディション [DVD] 販売元:角川エンタテインメント |
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