映画『クライマーズ・ハイ』
組織図。この映画は職場内における組織図を表している。それは個人の家庭、生活にも大きく影響を及ぼし、人の生き方を問いかける肌と肌のぶつかり合い。どんな仕事をしている人でも、共感するところは多かれ少なかれあると思います。
友達の鑑賞後の意見を軽く伺った上、見応えがあるようなので 原作もドラマも未見のままに劇場へ向かうことに。知っているのは85年の日航ジャンボ機墜落事故を追う新聞記者達の群像劇である事くらい・・ですが、どうも社内の俳優陣のドラマが良いらしい。
最も感情移入できたのは主人公の悠木(堤真一)でした。社長から事故の全権デスクに任命されながらも上と下との板ばさみに遭い奔走する遊軍記者。組織内で力はありそうだが我が強いために部長や次長ともろにぶつかり合い収拾がつかない場面も。
いや、でもね、信念を貫こうとする男ってのはやはり素敵に映るもので、堤真一の熱演はなかなかのものだったと思います。
ふざけたワンマン・セクハラ社長に土下座しながらも自らの意思を貫こうとする姿に「く~、こ、こいつ!!」と、思わずこちらまで力んでしまう場面もあり、印象的だった。
セクハラ、職場内における異性関係の理不尽さなども問題視されていた。男社会で負けじと頑張る女性記者(尾野真千子)の活躍は、男女雇用機会均等法の是非を問うているようでもあります。
長時間労働における過労死や労働災害も浮き彫りになっていた。凄惨な事故現場を目撃して精神に異常を来たす部員の男はしらじらしい演出ながらも気の毒であり・・。青臭いイメージのあった堺雅人、力のある演技力で今回 県警キャップを好演されていた。
ネットや携帯電話の普及により随分便利になった情報化社会、だれしも簡単にブログで記事を書けるしメールで簡単に情報伝達も出来る。
けれども生身の人間同士のやりとりというのはいつの時代でも必要なものであり、魂の鼓舞は生命線だ。この話はネットなど当然無い時代。走り回り、事故原因のスクープを入手してもウラが取れなきゃ簡単に記事にも出来ない。当たり前と言えば当たり前だが、結論へ至るまでのドラマの密度が濃く、そこが重要なのです。
ひとつふたつ惜しいなと思ったのは、悠木の家族関係やロッククライミングの関連性。随分事故当時の緊迫感とかけ離れた描写で距離感があり、ラスト・シーンがあまり生かされていませんでした。
全体的に共感できるところは多々あり、2時間以上の長丁場ながらもぐいぐいと引き込まれる作品でした。役者さんの演技は流石に良かったなと思います。この作品のテーマ、帰結するのは『家庭』という解釈で、いいのかな。組織の歯車として流されたくない自分と、流されて平凡に生きてもいいんじゃないかと思う自分、双方の葛藤があります。
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