映画『アメリカン・ギャングスター』
自分がまだこの世に生をうけていないぎりぎりの年代、NYでの物語。時代の空気が読めていなかったのか、最初は出てくる登場人物が何をしているのか分かり辛かった。しかし徐々に人々のドラマにのめり込み、全てを理解し始める。
この荒んだ世界は『セルピコ』(73)を思い出しました。警察内部の腐敗ぶりが凄まじい。
家族をないがしろにしながらも己の信念と正義感で職務を全うしようとする男リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)が追う“見えない敵”は、ボス亡き後、東南アジアの麻薬を軍用機で直輸入し、品質2倍・値段は半額の通称“ブルー・マジック”を販売するというビジネスを自ら思い立ち実行した男フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。
組織に依存せず、マフィアからも一目置かれる存在にまで上り詰めた実在するフランク・ルーカスという人物は時に暴力的であるが、家族を愛するひとりの男、ビジネスマンとしてクローズ・アップされていました。
監督のリドリー・スコット曰く作中でも“そのまま”の姿を映し出したものだといいます。フランク本人がアドバイザーとして作品に関わっているというのも驚きでした。
今普通に生活されているのか、と「???」でしたが、映画を最後まで観れば納得です。この作品はデンゼル・ワシントン観たさに劇場に足を運んだのですが、ラッセル・クロウもその他映画に登場した全て多くの人物が印象に残るほどに分かりやすく、良く出来た素晴らしい作品でした。ええ~、リドリー・スコットって、こんな作品作れるんだね~と感動一入です。
ベトナム戦争、麻薬取締局創設など興味深い歴史事項も盛り込まれていた。
あまりネタバレは駄目ですかね。いやしかし、最後の最後でリッチーとフランクが対面したときはシビレましたよ。ここで繫がった~!!って。で、只単に刑事が悪党を捕まえる話に終始するのではなく、大物2人が出合った後がまた大事(おおごと)なのです。
「このままでは終わらせんぞ~!!!」ってね。
いわば、フランクの取った行動が“腐った世の中を試す仕掛け人”のようにも見える。白昼堂々銃をぶっ放したり、時に凶暴なまでに荒れ狂う様は「相当、怒ってるなこの人」と。生まれ育った環境における残虐性と紳士でありたいとする気持ちの相反。
妻エヴァ役のライマリ・ナダルという女優さん、とても綺麗な方ですね。
母親のママ・ルーカス(ルビー・ディー)は最後にビシッ!とキメてくれました。バシッと。
2時間以上の長さも気にならず、一瞬たりともダレる事が無かった。もうちょい!長くても良かった気もします。
70年代前半の空気感はもとより、個人のドラマに感動でした。
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コメント
こんにちは。
>ビジネスマンとしてクローズ・アップされていました。
そんな感じで、単なるギャング映画とは異なった見応えのある作品でしたね。
私も70年代の空気感と人間ドラマが堪能できました。
投稿: たいむ | 2008年2月 9日 (土) 22時59分
たいむさん、こんにちは。
ギャングの組織形態を超えて描かれているところがこの作品の魅力だったように思います。
個人の人間ドラマって、大切ですね。
投稿: たまさん(主) | 2008年2月 9日 (土) 23時39分
TBどうもでした
デンゼル演じるフランクは天才ビジネスマンでした、他のどのビジネスでも成功していたと思わせますが、当時の時代背景と生まれ育った環境はギャングの道しか残されていなかったのでしょう。
心底の悪人と言う感じに見えなかったはそのせいでしょうか?
警察や軍上層部の方がよっぽど悪人だった気がしました。
投稿: くまんちゅう | 2008年2月10日 (日) 13時42分
こんばんは。
公開日ではないんですがすぐに見に行きましたよ~。
俺は、正直思っていたものとは違い残念なところもありますが、総合的には良い作品だったと思います。
普段は、映画類の物書きはしないので少し難儀でした。
音楽ジャーナリストとしてしか活躍できないのでは、あまりにも精神が貧困。フリーになるとかではないですが、これからはたまさん(さん)のように、映画など幅広く文が書けるようにしなくては(笑)。…正味な話、金が絡めば書けるんですがね…(笑)。たまさん(さん)のように、うまく書けるかはわかりませんが。
また遊びに来ます。
投稿: ホーマー | 2008年2月10日 (日) 22時11分
度々すいません!
この前のオーディオプレイヤーの曲ですが、1000曲全てギャングスタ・ラップです。
デス/グラインド・コア、ブラック・メタルは1曲も入ってません。
でもブリトニーが1曲入っております(笑)。
また来ます。
投稿: ホーマー | 2008年2月10日 (日) 23時02分
>警察や軍上層部の方がよっぽど悪人
くまんちゅうさんのおっしゃるとおり、フランクは天才ビジネスマンであり、紳士的な面も持ち合わせておられます。
映画を観る限りですが、幼い頃から不快な境遇に立たされるとあの道しかなかったのかもしれません。彼に共感する部分は多々ありましたし、心底の悪人には見えませんでしたね。
デンゼルが演じているからというのもあるかもですが、周りの人間のほうが悪く見えてしまいました。
投稿: たまさん(主) | 2008年2月11日 (月) 00時34分
>ホーマーさん、
音楽ジャーナリスト、素晴らしいご職業ですね。
私には到底できないお仕事です。
故に、ブログでは好き勝手なことを書いてます(笑)
今回の映画、従来のストリート作品とは違い、返って新鮮で良かったと思いました。
なるほど~ブリトニーも外せませんか。
そういや、チルボドもカバーしてました(笑)
投稿: たまさん(主) | 2008年2月11日 (月) 01時12分
おはようございます!
TBどうもありがとうございました!
わたしも前半は何をやってるのかわかりづらかったですが
いつのまにか引き込まれてましたよ。
ギャングも恐いが、警察の腐敗ぶりには呆れますよね・・・
二人の俳優の演技だけでも価値ある見応え十分な映画でした!
投稿: アイマック | 2008年2月12日 (火) 09時55分
アイマックさん、
ですよね、最初何やってるんだろうと思いました。
けどあの時代背景を考えるにつれ理解できました。
あそこまで酷かったのかと。
素晴らしい俳優の名演が見れて良かったです。
投稿: たまさん(主) | 2008年2月16日 (土) 02時25分
たまさん
今晩は☆★
お久しぶりです!TB&コメントどうもです。
パソコンを再インストールしました。
何と4時間以上もかかり・・・。大変です。
運よく動きましたので、購入せずにすみました。
以前より動きも軽くなり、よかったです。
この作品、思った以上に面白かったですね!
特にデンゼル演じるフランク・ルーカスは、この中で
一番良かったと思います。ラッセルもなかなかいいですね。
ハリウッド二大スターの共演に、リドリー・スコット監督なんて最高ですよね。フランク・ルーカスは今も健在だとか?
この作品、観たのでしょうかね。
投稿: mezzotint | 2008年3月10日 (月) 22時12分
mezzotintさん、お久しぶりです♪
再インストール、4時間・・
2度経験ありますから分かります。大変ですよね、、
この映画、実話でありながらも、大変魅力ある作品でした。フランク・ルーカス本人が製作に深く関わっているようですから、きっと作品も観ているでしょうね。
彼の感想が聞きたい気もします。
デンゼルの名演、さすがでした。
投稿: たまさん(主) | 2008年3月14日 (金) 00時52分