映画『硫黄島からの手紙』
『父親たちの星条旗』に続く“硫黄島2部作”第2弾。
日本の側の視点で描かれている本作は、やや複雑だった前作よりも人間ドラマがストレートに胸に響き感動しました。アメリカ軍の圧倒的な戦力の前に5日で終わるとされた戦いを、36日間もの長きに渡り戦い抜いた男達。彼らは家族や友人を愛する、現代に住む私達となんら変わることのない愛情豊かな人達だった。
日本軍硫黄島守備隊の総指揮官、栗林忠道中将(渡辺謙)とロサンゼルス・オリンピック馬術競技の金メダリスト、「バロン西」こと西竹一中佐(伊原剛志)は実在の人物。共にアメリカ人の友人を持つ彼らはおおらかでユニークな人柄で、厳格な軍人達の中で異彩を放っていました。
一日でも長く生き延びて、本土の家族の為に島を守り抜くように指示する栗林中将の防衛戦術は従来の常識を打ち破る。兵士達からも反発をくらうが、彼なくして36日もの長期戦は無かったのだ。
そんな中で極めて印象的だったのが、フツーに愚痴もこぼす心優しき兵士西郷を演じる二宮君だ。彼は渡辺謙を食うくらいの勢いで観客の心を鷲摑みにしたんじゃないだろうか、と思えるほどに現代的なキャラだった。戦争映画が苦手な人でもこれはいけるんじゃないかと思いましたね。ちょっと若すぎるような気がして違和感もありましたが。
「こんなくさい島、アメ公にくれちまえばいいのによぉ」
やってられるかい!アホ!!なんて、叫びだしそうな勢いじゃないか。
西郷の妻役の裕木奈江、久しぶりにみました。伊藤中尉役の中村獅童、栗林に反発する厳格な軍人と思いきや、寝転んでました。憲兵から一転して戦場に送り込まれた清水役の加瀬亮、犬を助けようとしたのに・・。
前作とリンクしているシーンは数多く見られます。玉砕シーンでも強烈なメッセージを投げかけてくるかのようでした。兵士ひとりひとりはそれぞれ生身の人間であり、国に操作される戦いは惨いもの。2部作であってこそのC・イーストウッド巨編、見事に繋がった瞬間を目撃できて良かったです。
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 映画『硫黄島からの手紙』:
» 硫黄島からの手紙!! [十勝川温泉 笹井ホテル]
笹井ホテルの『ささいなニュース』 NO.42 先日久々に映画を観に行って来ました [続きを読む]
受信: 2006年12月17日 (日) 00時45分
» 「硫黄島からの手紙」みた。 [たいむのひとりごと]
「これはアメリカ映画だよな。」エンディングで改めて思った。『父親たち星条旗』に続き、硫黄島2部作”日本から見た硫黄島”編だということだったけれど、どうもこれも”アメリカから日本を見た硫黄島”という気がした。(以下若干内容に触れます) 私に... [続きを読む]
受信: 2006年12月17日 (日) 12時44分
» 映画「硫黄島からの手紙」 [ミチの雑記帳]
映画館にて「硫黄島からの手紙」
クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」に続く硫黄島二部作第二弾は日本側の視点から描いた作品。
1944年6月硫黄島に着任した栗林忠道陸軍中将(渡辺謙)は、早速硫黄島を自分の足で一周する。地形を観察し、体罰を振るう上官を戒めながら、とにかく自分の足で歩き、自分の目で見て、作戦を立てる。苦しい食糧事情から、自らも一兵卒と同じだけの食事しか取らないという態度を通す。定石... [続きを読む]
受信: 2006年12月17日 (日) 20時00分
» 「硫黄島からの手紙」見てきました。 [よしなしごと]
この映画のおかげで「硫黄島に行くにはどうすればよいのか?」という問い合わせが今までは月に1回くらだったのが、今では1日に何回も問い合わせがあるようになってしまったと新聞に載っていました。と言うわけで硫黄島からの手紙見てきました。... [続きを読む]
受信: 2006年12月17日 (日) 21時54分
» 映画『硫黄島からの手紙』 [健康への長い道]
昨日から公開の『硫黄島からの手紙』を梅田ブルク7で観てきました。 睡眠不足の眠たい目を擦りながら#63910;、朝9時すぎに劇場に到着。『武士の一分』、『007/カジノ・ロワイヤル』などの他の話題作もラインナップされているからか、チケット・フロアには既に相当数..... [続きを読む]
受信: 2006年12月17日 (日) 23時37分
» 硫黄島からの手紙 [Akira's VOICE]
観賞後に胸を満たすのは,反戦の強い思い,ただひとつ。
[続きを読む]
受信: 2006年12月19日 (火) 11時56分
» 硫黄島からの手紙 [キネマとかざぐるまの部屋]
「父親たちの星条旗」と同時に製作した、C・イーストウッド監督映画。硫黄島の激戦を [続きを読む]
受信: 2006年12月20日 (水) 19時05分
» 硫黄島からの手紙 [欧風]
さて、昨日はクラブワールドカップに行った、と書きましたが、その試合の前日、16日も東京にいたので、映画を観ることに。
池袋シネマサンシャインで観た [続きを読む]
受信: 2006年12月21日 (木) 20時44分
» 映画「硫黄島からの手紙」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Red Sun, Black Sand (Letters From Iwo Jima)
硫黄島に眠っていた、その手紙は61年ぶりに発見された、地中にあった硫黄島からの手紙、それは輸送爆撃機「一式陸攻」によって配達されるはずだった・・
時は1944年6月、指揮官として陸軍中将の栗林忠道(渡辺謙... [続きを読む]
受信: 2006年12月22日 (金) 01時30分
» 【劇場鑑賞138】硫黄島からの手紙(LETTERS FROM IWO JIMA) [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
1945年 硫黄島
アメリカが5日で終わると思っていた戦争を
36日間守り抜いた日本人たちがいた
これは彼らの話である
[続きを読む]
受信: 2006年12月24日 (日) 22時42分
» 硫黄島からの手紙 [ニュースをよむ!]
公開前からアカデミー賞の呼び声が高かったクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」。「父親たちの星条旗」に続く2部作第2弾として、日本から見た硫黄島を描いています。いまや世界的な俳優になった渡辺謙をはじめ嵐の二宮和也、伊原剛志、中村...... [続きを読む]
受信: 2006年12月25日 (月) 20時43分
» 日本は硫黄島で2度負けた〜「硫黄島からの手紙」 [万歳!映画パラダイス〜京都ほろ酔い日記]
一部の軍事マニア、元軍人を除いて、どれだけの日本人があの小さな島、硫黄島での激戦に思いをはせてきただろうか。東京都に属するこの島の位置すら、僕らは指し示すことができない。クリント・イーストウッド監督(76歳!)の「硫黄島からの手紙」を観て、というか硫黄....... [続きを読む]
受信: 2006年12月29日 (金) 21時13分
» 【劇場映画】 硫黄島からの手紙 [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。アメリカ留学の経験を持ち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将・栗林が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。そんな栗林の登場に、硫黄島での日々に絶望していた西郷ら兵士たちは希望を見出す。だが、一方で古参の将校たちの間で反発が高まり…。(goo映画より)
イーストウッド監督の「硫黄島2部作」のうちの残りの一篇「硫黄島からの手紙」を鑑賞... [続きを読む]
受信: 2007年1月 3日 (水) 09時55分
» 硫黄島からの手紙 [悩み事解決コラム]
{amazon}
「父親たちの星条旗」を観る前に、「硫黄島からの手紙」を
観た。「父親〜」は近いうち観ると思うので、総括はまた
その映画鑑賞後書きたいと思う。
国家が敵・味方を分けるが、国家が分けた敵・味方の
区別など一体何なのであろう?... [続きを読む]
受信: 2007年1月 4日 (木) 15時12分
» 獅童「砂のように…」心境語る [秘伝!夢のネット生活♪]
歌舞伎俳優の中村獅童さんが1月6日発売の雑誌「婦人公論」のインタビューに応じて、元妻の女優・竹内結子さんとの離婚騒動について、初めて語っています。中村獅童さんは騒動について、「昨年、僕自身のことで周りの方にご迷惑、ご心配をおかけしてしまったことは...... [続きを読む]
受信: 2007年1月 6日 (土) 12時37分
» 硫黄島からの手紙−(映画:2007年7本目)− [デコ親父はいつも減量中]
監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、松崎悠希、中村獅童
評価:72点
公式サイト
(ネタバレあります)
何が凄いって、これだけ日本人がワラワラと出てくる映画が洋画であって、監督がクリント・イースト....... [続きを読む]
受信: 2007年1月20日 (土) 01時00分
» 「硫黄島からの手紙」 世界でシェアすべき作品 [やまたくの音吐朗々Diary]
公開中の映画「硫黄島からの手紙」を観賞。監督・製作:クリント・イーストウッド。製作:スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ロレンツ、製作総指揮・共同原案:ポール・ハギス。脚本:アイリス・ヤマシタ。出演:渡辺謙 、二宮和也 、伊原剛志 、加瀬亮 、中村獅童ほか戦況が... [続きを読む]
受信: 2007年1月21日 (日) 06時43分
» 中村獅童ついに新居に引越し [得ダネ情報サイト]
竹内結子さんと離婚問題で揉めている中村獅童さんが去年の授賞式に出席以来、消息を絶っていて、現在は都内で単身生活。獅童さんは竹内さんと長男の3人で暮らしていた東京・渋谷の高級マンションから家賃約25万円の1LDKに引越したそうです。仕事の方も先細りということ...... [続きを読む]
受信: 2007年1月29日 (月) 21時45分
» 「硫黄島からの手紙」 アメリカ人も日本人も、同じ人間 [はらやんの映画徒然草]
イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」に続く硫黄島二部作の二作目です。 「父親 [続きを読む]
受信: 2007年1月31日 (水) 07時39分
» 日本映画が勝った [日本映画が勝った]
邦画の萌芽アメリカ映画のドンパチにもうええ加減にしてそれが、日本映画に目を向けたんです恋愛映画での涙が失恋を癒す 恋の時々、わたしには映画がありました。 だから、その映画の題名を書くと私の年がすぐ分ってしまいます。 私自身の失恋と映画の関係は次回以降おいおいたっぷり語って行きたいと思います。まず一つだけ(とか言いながら、もうばらす)青春のもっとも多感な時の大失恋、自殺さえ考えたことを思いとどめさせてくれた映画とその思い出を今回少し語ります。おそらく誰もそんな映画の題名、知らな...... [続きを読む]
受信: 2007年3月21日 (水) 15時12分
» 映画DVD館 [映画DVD館]
Yahoo!ブログ - Yahoo!サービス - 「映画」の検索結果
http://rd.yahoo.co.jp/rss/l/blog/cat/channel/*http://blogs.yahoo.co.jp/DIRECTORY/cat.html?cid=555021709 %B1%C7%B2%E8
甲子園♪♪
Tue, 27 Mar 20... [続きを読む]
受信: 2007年3月27日 (火) 15時10分
コメント
TBどうもです。
>「こんなくさい島、アメ公にくれちまえばいいのによぉ」
このセリフ、いきなりびっくりでした。
日本映画でここまで露骨に会話する作品って、まずないかな?って思ったので。
良い意味でハリウッド的な日本映画でしたね。
投稿: たいむ | 2006年12月17日 (日) 12時46分
コメント、どうもです。
二宮君が演じる西郷、したたかなキャラクターでした。
アメリカの良い部分を注入した日本映画と思いましたが、なんだか複雑な気もします。
たいむさんの言うように日本の作品ではなかったかもですね。
投稿: たまさん(主) | 2006年12月18日 (月) 08時10分
TB&コメントありがとうございました。
>ちょっと若すぎるような気がして違和感もありましたが。
確かに自営業で身重の奥さんもいて・・・という設定をついつい忘れてしまいましたね(笑)。
でも、実際10代・20代の人も多かったようで、お気の毒で仕様がありません・・・。
投稿: ふくちゃん | 2006年12月21日 (木) 00時12分
お察しのとおりですね。
ふくちゃんさんも書かれていたあのセリフからもわかる印象的なキャラクターでした。幼いようで、周りをしっかり見ている。 戦場に送り込まれる皮肉・・。
ラストの彼の眼差しが目に浮かびます。
投稿: たまさん(主) | 2006年12月21日 (木) 08時26分
たまさん、こんばんは~!!
いつもご訪問&愛あるコメント、
どうもありがとうございます!!
イーストウッド監督が、硫黄島を2部作で描いた意図が、
よくわかった素晴らしい作品でしたよね。
日本人キャスト&日本語のセリフというこだわりといい、
今までのハリウッドの監督さんでは決していなかった、
作品へのアプローチの仕方、そして作品への情熱!!
ただただ敬服いたしますっ!!
投稿: 伽羅 | 2006年12月24日 (日) 15時34分
TBありがとう。映画の評価は似ています。
しかし あなたのブログはすごい。とても追いつけません。ときどき見させてもらいます。
投稿: yuzuki | 2006年12月25日 (月) 19時16分
伽羅さんへ、いつもサンキューです☆
イーストウッド、やはり凄い作品をつくってくれました。日本人キャストでこのような映画が観れるとは・・・涙です。
投稿: たまさん(主) | 2006年12月25日 (月) 23時42分
yuzuki様へ、こちらこそTB&コメント、ありがとうございます☆
毎回悪戦苦闘しながらブログに向かってますよ(苦笑)
そちらへもまたご訪問させていただきますのでよろしくお願い致します。
投稿: たまさん(主) | 2006年12月26日 (火) 00時00分